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2017年1月24日火曜日

2月26日に福岡で岸本佐知子さんと対談をします

2017年2月26日に福岡のRethink Booksで岸本佐知子さんと対談をします。
http://rethinkbooks.jp/event/2239
タイトルは「ふたりの翻訳家が語り倒す、翻訳、書評、海外文学」で、読んで面白かった本の話や翻訳の話をしようと思っています。お近くに住んでいてご興味のある方はぜひ。

2017年1月22日日曜日

タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』解説書きました

タナハシ・コーツ著『世界と僕のあいだに』(池田年穂訳、慶應大学出版会)の解説を書きました。
http://www.keio-up.co.jp/kup/gift/coates.html
こごて一部を読むことができます。
タイトルは「新たなフランツ・ファノン」です。ご興味があれば。

2017年1月19日木曜日

『英語教育』02月号にアディーチェ『アメリカーナ』について書きました

『英語教育』2017年02月号にアディーチェ『アメリカーナ』について書きました。
http://www.taishukan.co.jp/book/b279149.html
『アメリカにいる、きみ』なと素晴らしい短編集で人気のアディーチェですが、とうとう新作長編『アメリカーナ』が出ました。まえの長編2つ『パープル・ハイビスカス』『半分のぼった黄色い太陽』とは違って、舞台がナイジェリア、アメリカ、イギリスと複数になっています。
しかもアメリカの描写がすごい。アメリカ出身ではない黒人、という立場から、アメリカの人種差別の状況を客観的に分析しています。これが鋭い。生活しているだけに、内部から考えることが出来ています。もちろん物語としても優れたエンタテインメントです。お勧め。

2017年1月18日水曜日

『英語教育』01月号にクッツェー『イエスの学校時代』について書きました

『英語教育』2017年01月号にJ. M. クッツェー『イエスの学校時代』について書きました。
http://www.taishukan.co.jp/book/b272855.html
前作『イエスの幼子時代』では欲望の存在しない奇妙な国にやってきた少年と男性が少年の母親を探す話でした。最後、学校から逃げ出して家族で旅に出るところで終わっていましたが、本作は別の街で新たな人生を始める、というものです。そのなかで重要になるのがダンスで、言葉を超えたものに向かうクッツェーの試みが展開されています。とても面白い作品ですね。果たして第3巻も出るんでしょうか。

2017年1月17日火曜日

『英語教育』12月号にエイミー・ヘンペルについて書きました

『英語教育』12月号にエイミー・ヘンペル『短編集』について書きました。
http://www.taishukan.co.jp/book/b253206.html
極端に寡作な彼女ですが、かつてレイモンド・カーヴァーを育てたゴードン・リッシュの薫陶を受けた作品は研ぎ澄まされた詩のような読後感があります。チャック・パラニュークやリック・ムーディが絶賛していることからも彼女の作品の魅力はわかるでしょう。

2017年1月14日土曜日

『週刊新潮』に木村友祐『野良ビトたちの燃え上がる肖像』書評書きました

2017年1月17日号の『週刊新潮』に木村友祐『野良ビトたちの燃え上がる肖像』の書評を書きました。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
河原という最も弱い立場の人々が集まる場所に視点を置いたとき、現代日本の姿が鮮やかに浮かび上がります。きらびやかな都市の片隅で見えないことになっているものを直視すること。文学の古くからのあり方が、とても新しい作品として結実していると思いました。
2011年を境に、日本文学は大きな転換を果たしていることがわかる小説になっています。星野智幸『呪文』が好きな人はぜひ。

ここで全文が読めます。
http://www.bookbang.jp/review/article/524576

2017年1月10日火曜日

『世界の8大文学賞』前書きが公開されました

ガジェット通信というサイトで『世界の8大文学賞』前書きが公開されました。
http://getnews.jp/archives/1588087
ご興味があれば。

2017年1月8日日曜日

『本の雑誌』12月号の新刊めったくたガイド書きました

 『本の雑誌』2016年12月号の新刊めったくたガイド書きました。
http://www.webdoku.jp/
取り上げたのは以下の三冊です。

温又柔『来福の家』(白水uブックス)
金仁淑『アンニョン、エレナ』(書肆侃々房)
内澤旬子『漂うままに島に着き』(朝日新聞出版)

温又柔の『来福の家』復刊はとにかくめでたいです。日本人とは何か、日本語とは何かという問いと、実際に日本で外国人として生きていくということが正面から組み合った、優れた作品になっています。特に「幸去幸来歌」はお勧め。現代の日本文学がどこまで来ているのかが良くわかる作品です。
金仁淑『アンニョン、エレナ』が翻訳されたのは素晴らしい。現代の韓国文学に如何に多国籍な声か響いているかが良くわかる作品です。アメリカに渡った親戚、ポルトガルから届いた、異父妹からの手紙。書肆侃々房という福岡の出版社から出ているのもいいですね。ここは現代歌人のシリーズを出したり、今村夏子の新作『あひる』を出したりと、とても意欲的です。
内澤旬子『漂うままに島に着き』は東京に嫌気がさした著者が小豆島に移住し、気持ちのいい人生を手に入れるまでの顛末が綴られています。これを読むと、東京が中心という考え方がいかに古くさいものかが良くわかります。『世界屠畜紀行』『身体のいいなり』など、内澤さんの仕事は現代社会で見えないことになっているものを引き出すのが上手いですよね。どれも名著です。