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2016年9月21日水曜日

『週刊新潮』で、いしいしんじ『海と山のピアノ』について書きました

『週刊新潮』2016年9月22日号で、いしいしんじ『海と山のピアノ』(新潮社)について書きました。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
先日、三島由紀夫賞の受賞会見で蓮實重彦先生が、賞はいしいしんじさんに渡すべきである、とおっしゃっていましたが、この作品を読むとその言葉の意味がわかります。
児童文学とも大人の文学ともつかない設定、密度の高い文章、極端にレベルの高い作品を書くいしいしんじさんは、現代日本における最高峰の書き手と言っていいでしょう。
ラカグで行われた本書出版記念の人形劇も楽しかったです。いしいさん自身が一人で何役もこなしたりして。蓄音機の音楽も良くあっていたな。

2016年9月8日木曜日

10月4日に筒井康隆さんにインタビューをします

10月4日に東京大学本郷キャンパスの福武ホールで筒井康隆さんにインタビューをします。
http://new.lib.u-tokyo.ac.jp/4206
東大生向けの学内受付(40名)は終了したのですが、一般受付は13日の12時からです。上記のサイトで事前の受付が必要です。定員は80名です。
この企画では課題図書を三冊決め、それを中心にお話をうかがっていきます。三冊+参考図書一冊は以下のとおりです。

課題図書
・『日本以外全部沈没』(角川文庫)
・『虚人たち』(中公文庫)
・『世界はゴ冗談』(新潮社)

参考図書
・『着想の技術』(新潮文庫、絶版、ただしkindle版はあり)

筒井さんに創作についてお聞きできるというのは貴重な機会ですね。楽しみにしております。


2016年9月2日金曜日

『英語教育』5月号に雑誌『フリーマンズ』について書きました

『英語教育』2016年5月号に雑誌『フリーマンズ』について書きました。
http://www.taishukan.co.jp/book/b222752.html
『フリーマンズ』は元『グランタ』編集長ジョン・フリーマンさんが作った雑誌で、とても面白い記事が満載されています。中でも、リディア・デイヴィスがノルウェー語ゼロで、むりやりダーグ・ソールスターの原語の作品を読もうと試み、ついに読み切ってしまう衝撃のノンフィクション「ノルウェー語を学ぶ」はすごかったです。アレクサンダル・ヘモンの短編もよかったな。

2016年9月1日木曜日

『本の雑誌』5月号の新刊めったくたガイド書きました

『本の雑誌』2016年5月号の新刊めったくたガイド書きました。
http://www.webdoku.jp/
取り上げた本は以下のとおりです。

ジョイス・キャロル・オーツ『邪眼』栩木玲子訳、河出書房新社。
リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』奈倉有里訳、新潮社。
ワールポラ・ラーフラ『ブッダが説いたこと』今枝由郎訳、岩波文庫。

ノーベル文学賞候補とも言われているオーツですが、日本ではいま一つ読まれていないようです。この本では、いつまでも少年でいたがるナルシストの男に周囲の女性たちが振り回され、不幸になる状況が描かれています。成熟できない男性がいかに迷惑な存在かがよくわかります。
ウリツカヤの作品の主人公も変わった男性です。しかしながらどんな状況も楽しめる彼は、周りの人々を明るくしていく力を持っています。そして多くの女たちが彼のところに集まるのです。
ラーフラの本は優れた仏教入門になっています。自分を捨て、目の前のことに没頭して、他人に与えること。それをマインドフルとも呼べるでしょうが、こんなに昔にブッダは人生の答えを出してしまっています。自分探しの次のステップがよく分かる本です。