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2015年4月5日日曜日

伊坂幸太郎『あるキング 完全版』文庫解説書きました

伊坂幸太郎さんの小説『あるキング 完全版』の文庫版の解説を書きました。
http://www.shinchosha.co.jp/book/125028/
仙台(に限りなく近い都市)の弱小球団にある天才選手が入ってきます。全ての記録を塗り替える大ヒーローの素質を持ちながら、なぜか世間は彼に味方をしません。むしろ、才能を潰そうとあの手この手でせまってきます。正義の名において嫉妬による暴力がまかり通る世界で、彼はどう花開いていくのでしょうか。
この新潮文庫版『あるキング』には、雑誌連載版、単行本版、徳間文庫版と、三つのバージョンが収録され、さらに柴田元幸さんによる解説と伊坂幸太郎さん本人のインタビュー、そして不肖私の書いた解説と、すごく複雑な構成になっています。微妙に、けれども確実に違う三つの『あるキング』を読み比べることで、伊坂光太郎という作家がどんなふうに創作しているのか、という舞台裏までを読者は楽しむことができるでしょう。
僕としては、締め切りぎりぎりになってもまだ細かく文章を直し続ける伊坂さんの気迫に圧倒されました。この人から学ぶべきことは多いです。