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2014年7月26日土曜日

8月2日に東直子さんとB&Bで対談をします

8月2日に東直子さんと下北沢のB&Bで対談をします。
http://bookandbeer.com/blog/event/20140802_a_yomiya/
東さんは短歌を通じて僕を日本語の深い世界に導いてくれた師匠といってもいい存在です。お会いするたびに僕は東さんの広い知識と確かな見識に圧倒されています。
今年の5月に『鼓動のうた 愛と命の名歌集』(毎日新聞社)という本を出された東さんとともに、今回は僕の本『狂喜の読み屋』』(共和国)について語り合います。とはいえもちろん、『鼓動のうた』についても、そして他の短歌や小説の話も飛び出すに違いありません。
東さんのお話をお聞きできるのが今から楽しみです。

2014年7月3日木曜日

島田潤一郎『あしたから出版社』(晶文社)

心を込めて、好きな本を好きな人に届ける。それだけのことがなんでこんなに貴重に感じられるんだろう。島田潤一郎の『あしたから出版社』は、作家になろうとして挫折した若者が、編集の経験もないまま、好きな本を作り上げてそれを必要としている人に届けたい一心で出版社を立ち上げる物語だ。小島信夫やマラマッドなどの、夏葉社の作る、時代を超えたようなたたずまいの本に惹かれたことがある人なら、この本は心の底から楽しめると思う。
「ぼくは、いつか、袋小路に入り込んで、だれもほしいと思わない本をつくってしまうような気がしている。たとえば、ある失敗を機にお金に困り、マーケティングなどといいだして、自分が必要としてはいない本を、これまで培ったノウハウで、ヒョイヒョイとつくってしまうように思う。
ほしいかほしくないかと聞かれたらそんなにほしくないけれど、でも、きっと、読者がほっしていると思うんだ。
そんなことをいいはじめたら、ぼくの仕事は、終わりだ。」(176ページ)
こんなに痛切な言葉があるだろうか。島田さんの不器用さとシンプルさに、僕は出版の、そして仕事の未来を感じる。

2014年7月1日火曜日

『波』にカレン・テイ・ヤマシタ『熱帯雨林の彼方へ』について書きました

『波』7月号にカレン・テイ・ヤマシタ『熱帯雨林の彼方へ』(新潮社)について書きました。
http://www.shinchosha.co.jp/nami/
マジック・リアリズム作品でありながらものすごく読みやすく面白い、日本人が主人公でブラジルが舞台のアメリカ小説、というキャッチーなところ満載の本書ですが、なぜか以前に白水社で出たまま長らく絶版が続いていました。満を持しての新潮社から復刊、ということで本当に嬉しいです。
カレン・テイ・ヤマシタについては、以前『新潮』の連載で僕もCircle K Cyclesという作品について書いたことがあります。日本、ブラジル、アメリカ合衆国という三つの場所を起点にものを考える、という希有の作家ですね。国際的に広がって行った日系人が果たして世界で何を考えているのか、について興味がある方にもお勧めではないでしょうか。