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2014年6月28日土曜日

『ユリイカ』マルケス特集に書きました

『ユリイカ』7月号特集ガルシア=マルケスに書きました。
http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791702732
タイトルは「ラテンアメリカを引き継ぐ--ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』と北米の魔術的リアリズム」です。
魔術的リアリズムってよく聞くけど、実ははっきりと理解している人はそれほど多くはないのでは、と思います。そもそも、対極的な概念である魔術とリアリズムがなぜ結びつくのでしょうか。そして魔術的リアリズムはシュールレアリスムとどう違うのでしょうか。もし魔術的リアリズムが南米版のシュールレアリスムでは必ずしもないとしたら、それはなんでしょう。
魔術的リアリズムという概念が、ドイツで発明され、中南米に渡って発展し、北米、さらには世界に伝播して行った過程は20世紀以降の文学において非常に重要なものだと思います。
本論ではディアスの『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』がマルケスの文学的な意志をどう引き継いでいるのか、について考察してみました。
北米文学と中南米文学を分けて考えることで見えなくなっているものがとても多いのではないかと感じています。マルケスの、カリブ海とそれを取り巻く陸地だと考えれば南北アメリカは一つの世界だ、という見方に衝撃を受けたのが本論の出発点になりました。