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2014年5月9日金曜日

『新潮』に筒井康隆『創作の極意と掟』について書きました

『新潮』6月号に筒井康隆『創作の極意と掟』について書きました。
『文学部唯野教授』など痛烈な小説で知られる筒井康隆ですが、この本では創作をする上での心がけについて、とても親切に語っています。
すぐれた評論になっているだけではなく、これがまたすこぶる面白い。しかも、小説のすごみはどこからくるかなど、とても勉強になります。色川武大からプイグまで、この本を読んだら次に読みたい本が増えて困るほどです。
いちばん驚いたのは、筒井が谷川流『涼宮ハルヒの消失』から影響を受けて作品を書いている、と告白しているところでした。自分より40歳ほど下の人からも学べる、というのは凄まじいほどの精神の若さではないでしょうか。こういう書き手が日本語の世界にいてくれて本当によかったと思います。

2014年5月8日木曜日

毎日新聞にタオ・リンについて書きました

毎日新聞5月7日号にタオ・リンについて書きました。
http://mainichi.jp/shimen/news/20140507dde018070014000c.html
哀切で滑稽で痛烈な青春を書いたらタオ・リンの右に出るものはいません。日本では『イー・イー・イー』しか翻訳がありませんが、短編集や詩集などいい作品はけっこうあります。
今回は『リチャード・イェーツ』について書きました。ベジタリアンVS摂食障害、という謎の対決を扱った恋愛小説です。これは文学なんでしょうか、一種のパフォーマンス・アートなんでしょうか。なんだかミランダ・ジュライがタオ・リンを強力に推しているのもわかるような気がします。
 新作『台北』もかなり評判になっているようですね。

2014年5月7日水曜日

『文學界』に村上春樹『女のいない男たち』について書きました

『文學界』6月号に村上春樹『女のいない男たち』について書きました。
「妻の裏切り」というタイトルで、特集「村上春樹が描く女と男」の一本となっています。
『女のいない男たち』はただ村上春樹の最新作というだけでなく、とても充実したものになっています。本論考では短篇「ドライブ・マイ・カー」に絞って、村上春樹における愛することと嫉妬などについて考えました。最初気づかなかったのですが、この作品でもチェーホフがとても重要な役割を果たしているようです。

2014年5月6日火曜日

エル・ジャポンにボラーニョ『鼻持ちならないガウチョ』について書きました

『エル・ジャポン』6月号にロベルト・ボラーニョ『鼻持ちならないガウチョ』(白水社)について書きました。
死の直前にボラーニョが書いた作品ですが、文章も物語も本当に素晴らしいです。表題作はボルヘスの『伝奇集』、「鼠警察」はカフカの短篇へのオマージュにもなっています。
このところ白水社は立て続けにボラーニョの作品を出していますね。2003年に亡くなってからもう10年以上立ちますが、依然として彼は現代世界文学における最高の作家の一人だと思います。どの作品を読んでも決して損はありませんよ。