ページ

2014年3月5日水曜日

内田樹・中沢新一『日本の文脈』(角川書店)

やっぱりこの人たちは面白い。思いつくままに会話を楽しんでいるだけなのに、いいアイディアがどんどん出てくる。まさにワークショップの鑑。きっとお客さんの脳味噌もぐんぐん動いていたことだろう。
二人に共通しているのは、近代の人間がパッと頭で考えたことなんて大したことない、という認識で、そこに自然や身体や古代からの生活感覚、そして超越的な存在が言及される。コントロールできないものの前で謙虚になることこそ本当の知性なのだろう。本当に近代の人間って、なんでこんなに思い上がっているんだろうね。
キー概念は贈与で、返しきれないものをいただいた、という感覚が人間を結びつける、という指摘が心に残る。
久しぶりに、人類学的な視点の喜びを感じることができた。なにより、 二人とも人を読書に誘う力がすごい。さあ、モースを、レヴィ=ストロースを、そしてレヴィナスを読もうではないか!