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2014年3月15日土曜日

坂口恭平『坂口恭平躁鬱日記』(医学書院)

強烈な文章が目白押しだ。これは坂口恭平の最高傑作なのではないか。2013年4月から7月までのほんの四カ月の日記なのだが、意識の流れのまま書いてある。読んでいて自由な気持ちになる。娘のアオちゃんと妻のフーに支えられ、彼女たちとの関係に多くを学びながら坂口恭平が生き抜いていくリアルな記録だ。子供の力ってものすごい。
もちろん躁状態の激しさと鬱状態の辛さは凄まじい。作中では主に薬物療法のみを行っているのだが、認知療法や食事療法など、他のやり方も併用したらいいのではと勝手に思ってしまった。こんなに面白い人に死なれたら困る。
医学書院の「シリーズ・ケアをひらく」はとてもいい。澁谷智子さんの『コーダの世界』も素晴らしかった。こうした本にこそ、僕は今、文学を感じる。