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2014年3月7日金曜日

内田樹・中田考『一神教と国家』 (集英社新書)

びっくりするほど面白い。それは知らず知らずのうちに、ヨーロッパ中心主義、キリスト教中心主義が僕らの主観の中に忍び込んでいるからではないか。イスラムやユダヤ教から見てみるとまた世界が違ってくるのを体験できるのがいい。
内田樹がレヴィナスについて語っている「一神教とは、要するに寡婦、孤児、異邦人があなたの家の扉を叩いた時に、扉を開き、飢えた者には食べ物を与え、裸の人には着る物を与え、屋根のない人には一夜の宿を貸すことだ。これが信仰のアルファであり、オメガである。そう言うのです。」(88)という言葉に心が震えた。弱き者の生存を守る、もう一つの倫理的なグローバリゼーションは可能かという問いは重い。
現行のグローバリゼーションに対抗しながら、身体感覚や皮膚感覚を重視しながら、生身の信頼関係を基礎に小さな共同体を造る、というアイディアも素晴らしい。