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2014年2月22日土曜日

菅原裕子『子どもの心のコーチング』(PHP文庫)

またもや名著である。褒めない、叱らない、物でつらない育児というのが衝撃。褒めるのは依存させて精神的に支配しているだけ、叱るのは親の感情の捌け口にしているだけ、もちろん物でつるのは問題外。だとすればどうすればいいのか。
「人の役に立つ喜び」を教えるというのが菅原さんの答えである。「新聞をとってきてくれたからおかげで読めて嬉しいよ。ありがとう」と親に言われたら子どもはどれだけ喜ぶか。人の役に立つことこそが人間の根源的な喜びであると菅原さんは論じる。 これは僕にとっては革命的な考え方だ。だってそうでしょう。人の役に立つには必ずしも優れている必要はない。自分なりに、ちゃんと相手のことを考えればいいのだから。優れていなくても、平凡でも、存在しているだけで十分に生きている価値がある、というのが菅原さんの著作全体が発しているメッセージだと思う。
「人の役に立つ喜び」を実感させるには、声を掛ける方が自分の感謝や喜びなどの感情をきちんと言葉にすることが必要だと菅原さんは言う。うーん、客観的・論理的に語る訓練は学校で受けてきたけど、自分の感情に焦点を当ててちゃんと言葉で表現するのは難しいよね。でも良い感情を贈物として交換できる関係があれば素晴らしいということはよくわかる。こういうのも練習かな。