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2014年2月25日火曜日

石牟礼道子・伊藤比呂美『死を想う』(平凡社新書)

日本ってこんなに豊かで深い言葉に満ちた場所だったのかと思う。刺されて死んだ遊女の思い出や、アメリカ軍の飛行機の機銃掃射を間近で見る体験に、『梁塵秘抄』や浄土真宗の言葉が響きあう。農民の想い、浄土への祈りが広大なアジアにまで広がっていく。時間も、空間も、複数の言語も超えた共振の空間が日本なのに、そこへのアクセスを失った僕らはなんと貧しいことか。石牟礼道子の紡ぐ言葉を、もっと遠くまで辿っていきたい。