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2013年12月30日月曜日

伊藤洋志『ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方』(東京書籍)

最近セレクトショップ やインテリアショップでもよく本を売っている。書店とは本の並べ方のセンスが全然違うから勉強になる。ほんの30冊ぐらいなのに、いつくも出会いをくれるというのは、本のすれっからしからすれば嬉しくてしょうがない。
この本はunicoで見つけた。「ナリワイ」ってなんだろう。専業にならず、身の回りで必要だとされることを回して、全体として生活を成り立たせること。専業化・専門化なんかに対抗する、肩の力が抜けた思想運動だ。そして体を動かす、文字通りの運動でもある。それにしても、床張り、太極拳、モンゴルツアー、結婚式作りって、多岐にわたりすぎてて面白い。
雰囲気は、ちょっと松本哉『貧乏人の逆襲』(ちくま文庫)にも似ているね。分業化すると詰まらなくなる、目指すべきは全体化、なんて昔マルクスも言っていたな。こういうの大好き。

デイヴィッド・ベズモーズギス『ナターシャ』(新潮社)

こんなに泣ける小説があるだろうか。ラトビアからカナダに来たユダヤ系の家族が、だんだんと新しい国になじんでいく話。でもそう簡単には記憶は消えないんだよね。負けた直後の重量挙げ世界チャンピオンが主人公の少年に、「世界でいちばん強い男は誰だい?」と訊ねるシーンは胸を掻きむしられる。こんなにいい本が版元品切れなんて、本当に信じられない。ベズモーズギス最高。

2013年12月29日日曜日

心屋仁之助『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』(朝日新書)

最近、心屋仁之助の本を読んでいる。正直、認知行動療法やアサーションなどについてここまでわかりやすく書ける人はいないのではないか。しかも20年ほどの勤務経験に基づいて言葉が綴られているので、単なる知識の羅列になっていない。教えるということについて深く教えられた。読む人がついてこられなくならないように、わざと内容の薄い本を出す、という彼の発想に驚愕。

今野晴貴『ヤバい会社』(幻冬舎文庫)

労働法をわかりやすく解説している本。面白くてサラッと読める。会社で暴言を言われた、急に辞めろと迫られている、なんてときに大いに役に立つだろう。
周囲の人たちのことを考えても、こんなに法律を使えているやつなんていないぞ。それにしても、法律を守ろうとするだけで革命みたいな感じになるなんて、一体どういう社会なんだろう。